「有事の金」——。古くから、経済が不安定になるとき、人々はこぞってこの輝ける金属に救いを求めてきました。
現代において、金価格は歴史的な高水準にあります。「今から買うのは遅すぎるのではないか?」「それとも、まだ序章に過ぎないのか?」そんな疑問を抱く方も多いでしょう。
今回は、5年、10年、15年、そして20年後という長期的なスパンで金の未来を予測していきます。
「金(ゴールド)は硬貨であり、それ以外はすべて信用(クレジット)である」
—— J.P.モルガン
※投資は自己責任でお願いします。本記事は将来の価格を保証するものではなく、資産形成のヒントとしてお楽しみください。
目次
1. 【5年後:2031年】「脱ドル化」とインフレの定着
まず直近5年のシナリオです。ここで鍵となるのは、中央銀行の動きです。
現在、中国やインド、トルコといった新興国の中央銀行は、外貨準備として保有する米ドルの割合を減らし、金の保有量を劇的に増やしています。これは地政学的なリスクに対する防衛策であり、ドル一極集中からの脱却を意味しています。
主な要因:
- 根強いインフレ: 通貨供給量の増大により、現金の価値が目減りし続ける中、購買力を維持する手段として金が選ばれる。
- 中央銀行の買い支え: 国家レベルでの需要が、価格の下値を強固に支える。
5年後の世界では、金は「一部の投資家が持つもの」から、インフレから生活を守るための「標準的な資産」としての地位をより強固にしているでしょう。
2. 【10年後:2036年】デジタル時代の「究極のアナログ」
10年後の2036年。世界はCBDC(中央銀行デジタル通貨)が普及し、私たちの決済は完全にデジタル化されている可能性があります。しかし、すべてがデータで管理される時代だからこそ、「匿名性」と「物理的な実体」を持つ金の価値が再定義されます。
「価格とは、あなたが支払うもの。価値とは、あなたが受け取るものだ」
—— ウォーレン・バフェット
サイバー攻撃やシステムダウンのリスクが叫ばれる中、電気もネットワークも必要としない金は、富裕層にとっての「究極のバックアップ」となります。デジタルの波が強まれば強まるほど、その対極にあるアナログな金の希少性は際立つのです。
3. 【15年〜20年後:2041〜2046年】「ピーク・ゴールド」という物理的限界
さらに先の未来、20年後の視点に立つと、問題は経済から「物理的な枯渇」へとシフトします。
金は地球上に存在する量が決まっている有限の資源です。現在、採掘しやすい場所にある金はほぼ掘り尽くされつつあると言われています。これを「ピーク・ゴールド」と呼びます。
20年後の予測シナリオ:
- 採掘コストの激増: より深い場所、あるいは環境負荷の高い場所での採掘が必要になり、供給コストが価格を押し上げる。
- リサイクル市場の主役化: 新たに掘り出すよりも、過去のジュエリーや電子基板から回収する金が主流に。
この頃には、金は単なる投資商品ではなく、手に入れること自体が困難な「超希少資源」となっているかもしれません。2046年の子供たちにとって、金は今の私たちが想像する以上に、神話的な価値を持つ存在になっている可能性があります。
結論:私たちは今、どう動くべきか
金は金利を生みません。配当もありません。しかし、歴史上、その価値がゼロになったことも一度もありません。これは、数千年にわたり人類が共有してきた「共通言語」のような価値です。
投資の格言に、このようなものがあります。
「準備しておかなかった者は、チャンスが来てもそれを掴むことはできない」
未来がどうなるかを100%当てることは不可能です。しかし、ポートフォリオの5%〜10%程度を金に割り当てておくことは、嵐の海を航海するための「重り(バラスト)」のような役割を果たしてくれるはずです。


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