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【青カビチーズの種類や食べ方などを解説】

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白カビといわれれば、チーズ慣れした頃には安心感を抱くかもしれません。 しかし青カビといわれると抵抗のある人も少なからずいます。
日本で食品につく青かびといえばミカンや食パン、お餅についた有害なカビに直結するからです。
青カビチーズの青カビは、実際には食すことに問題のないカビです。 学術的いえばペニシリウム属の一種です。
白カビは表面にペニシリウム・カメンベルティというカビを付着させます。 白カビから生み出される“酵素”がチーズを外側からたんぱく質分解して内側に向かって熟成させていくために白カビは外に付けます。
一方青カビはペニシリウム・ロックフォルティというカビをチーズの内部に浸透させて作ります。 青カビが行う脂肪を脂肪酸に分解する酵素の分泌、その酵素が脂肪を脂肪酸に分解して青カビ特有の風味や味わいを生み出します。
白カビのタンパク質分解と青かびの脂肪分解の違いがチーズのタイプ、そのものを分けているのです。
実は、鰹節もカビの付いた食品の一種です。ユーロチウム属のカビで少し茶色か黒味がかっています。 カビの匂いではないので気にならないかもしれませんが用途はチーズのカビと同じなのです。
産地別ブルーチーズ
全世界で約60種類あるといわれるチーズの代表的なものは以下です。
イタリア
『ゴルゴンゾーラ』
ドルチェ(甘口)タイプやナトゥラーレ(辛口)タイプがあります。 生乳に凝固物質を加えたのちに余分な水切りをします。 すると固形物「カード」と呼ばれるものが出来上がります。 この時に青カビを内部注入していきます。
・・・・・食べ方としてはシンプルにパンに塗り載せるのがポピュラーなのですが、強烈な匂いと塩味のインパクトが料理にもあうので、是非風味を生かしたアクセントに使いたい。
アンチョビを使う料理ならばその代用として使えばばっちりです。 またサラダのトッピングとしてもグッドです。ピザやパスタに降りかけられているのは有名です。
『グラティン ブルー』 ピエモンテ州
表面がイギリスのチーズのように少し硬めに作られているものですが、中はしっとりクリーミーです。 近似のチーズは『ブル ディ ランツォ』や『ブル デル モンチェニッジオ』があります。
こちらは、表層ならびにチーズの内部もセミハードチーズに近いくらいしっかりとした固さがあります。産地はイタリアの山間のランツォ渓谷です。 独特のにおいはありますが後味もくどくないので比較的食べやすいです。
・・・・・肉料理のアクセント、特に焼きあがったベーコンの上にまぶすのはつまみとしてもいいものです。ローストビーフのあわせソースに絡めればお洒落かつリッチなフランス料理になるとおもいます。
フランス
『ロックフォール』
こちらは牛の乳ではなく、羊の乳から作られたブルーチーズです。チーズは牛の乳ばかりから作られるのではありません。 牛の仲間である、山羊、羊、水牛、ヤク、ラクダの乳からも作られることは有名です。
フランスのこのチーズはまさに牛以外であることで話題性もあるのですが、更に、ロックフォール村の自然の洞窟で熟成されるという独特なつくり方を持っていて有名になっているのです。
味わいとしてはかなり個性があります。直に食べる場合には色々なブルーを食べた上で王道という観点から食べないと真っ先に嫌いになる可能性があるかもしてません。
・・・・・クリーム系の料理のソースとしてキッシュの中の具としてペンネパスタ料理として幅広く使われています。
イギリス
『スティルトン』
イタリア・フランスの代表チーズとは異なり表面が大分茶色いのが特徴です。 しかもその表皮は食べられるといいます。 大方のブルーチーズは表面にアルミホイルがかかっているものです。 それは輸入上の問題であったり、汚れや痛みを考えて梱包されるのですが、このイギリスのチーズはそれがなくむしろそのことで有名になったほどです。
また色合いもイタリアとフランスに比べると大分異なります。 前者二つがまったくの白そして中の青かびという色合いであるのに対し、こちらは黄色もしくはオレンジに近い色合いです。
味わいは後味に苦さを感じるものでブルー独特の臭みはかなりあります。 これも食べやすいブルーを経験せずにいきなり直に食べたら敬遠するかもしれません。
・・・・・リゾットの仕上げにつかったりカツレツや白身魚のフライのアンチョビソースの変わりに使うなどが贅沢でいいです。 個人的に好きな食べ方はチーズフォンデュが余った後スティルトンを混ぜてドリア風にして食べたもの。通である人なら至極な味わいに驚くかもしれません。
『シュロップシャー ブルー』
これはアナトーという天然色素をチーズ製造の工程で添加させ着色しています。 味匂いなどの風味はブルーでも見た目は一瞬ハード系のチーズに見えてしまいます。 スティルトンよりも水気が多い。それでも独特の苦味は後にのこります。
・・・・・こちらもリゾットやソースに使うほうが日本人には向いているかとおもいます。
『ジャーヴォー ブルー』
これは牛の乳のほうが量が取れるという事から牛乳でつくられるようになりました。 イギリスの更に北側アイルランドにも『キャッシェル ブルー』というブルーチーズがあります。アルミホイルで包まれたこのチーズはイギリスの『スティルトン』と製造も似ています。 よりコクのあるチーズの中身はブルーとしてはやさしい感じがします。どちらかといえばゴルゴンゾーラに近い感じです。
・・・・・濃い目の味付けに向くので肉料理のソースやピザのトッピングによく利用されます。ターキーやチキンを丸ごとオーブンで焼く料理にはその中身の詰め物に入れるとこのチーズのうまみと風味がチキンにも伝わりまるでレストランの本格料理になります。
ドイツ
『ヴァヴァリアブルー』
別名『カンボゾーラ』というものですがこれは今までのブルーチーズとは大分種類が違います。 このチーズは掛け合わせのチーズとも言われています。
カマンベールなどに使われる白カビを表皮におおわせて、チーズ発酵をさせていますが、内部はイタリアの『ゴルゴンゾーラ』用の青かびを注入させたチーズです。 一度に二つの味を楽しめるチーズです。
ブルーチーズを食べるならここが一番初心者むきかもしれません。クリーミーさがブルーの匂いを抑えることもできているからです。 大きさもカマンベール程度ですし、徐々に熟成していくことで白カビのもつコクもふかまります。
・・・・・こちらは料理としてはトーストにのせて、オーブンなどで焼き加減をみながら食べるのがいいでしょう。もちろんそのままでもおすすめです。
スペイン
『カブラレス』
今までは牛の乳もしくは羊の乳から作られるブルーチーズです。 スペインのアストゥリアス地方東部で作られているこのブルーチーズは、牛乳を主体にしながらも、チーズ製造量を見越した中で足りない乳の量を補うために、山羊や羊などの乳を混ぜて作るのです。
しかも、ロックフォールのように洞窟内での熟成ということがこのチーズの条件ですが、他のブルーチーズがチーズの中に青かびを人工注入するのに対し、自然発生で付着させるというものです。 このチーズはその珍しい製法や、生産数が極端に少ないことから幻のチーズとも言われています。
かなり個性的なチーズです。味も舌に刺激を持たせる点や後味の苦さなど。チーズの独特な風味を味わえる人ではないと厳しいです。
・・・・・料理には不向きかもしれません。バケットやクラッカーに塗って食べるのが一番食べやすいでしょう。
『ラ ペラル』
『カブラレス』を一般の人でも食べやすく、しかも人工的に青かびを投与して作られたチーズです。 このチーズは前者以上に脂肪分が高く、滑らかな舌触りが特徴です。 ・・・・・リゾットやパスタの上にかけて食べるといいアクセントになります。クリーミーな味わいの奥にそれほど刺激のないブルーの香りが際立っています。
●食べやすいブルーチーズ
上記のブルーチーズは匂いのあるものが多く初心者よりは食べなれた人向きのものです。
しかし、フランスにはブルーの強さを控えさせた食べやすさ重視のチーズもあります。『ブルー デ ネージュ』などは青かびの量が極端に少ないのが特徴です。
その他、あちらこちらに青かびが点在してしまってはいますが『モンブリアック』もブルーの刺激がかなり抑えられています。
『クレーム・ド・サンタギュール』
このかなりリキッド状のチーズに、青かびを浸透させたものがあるのです。 です。 マイルドでありながら匂いも抑えられている、まさに初心者向きのチーズです。 ヨーグルトにブルーチーズをまぶしたといった感じが当てはまると思います。
・・・・・野菜スティックのディップとしてバケットやクラッカーに塗って食べるのがポピュラーです。
その他、食べやすさの代表といえば、イタリアやフランスを手本にしてつくったデンマークのブルーチーズがあります。 『キャステロブルー』や『ダナブルー』です。
ホロホロとくずれやすくなっているこのチーズは塩味とブルーのそれほど気にならない匂いが特徴です。
・・・・・どんな料理に使ってもアクセントとしていい。サラダのドレッシング、パスタの仕上げ、クリームコロッケの具材の隠し味、チーズマカロニの隠し味。どれも邪魔にならない程度に使うことができます。
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