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チーズの熟成度合いについて

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●チーズの旨味は熟成から
チーズにはよく何ヶ月という期間が記載されているものがあります。 それはそのチーズが作られてから出荷されるまでの保管期間、いわゆる熟成期間を指しています。この期間によってそのチーズの熟成期間や旨味がわかります。
ナチュラルチーズを味わうにあたりその熟成は切っても切れない関係があります。 しかし、フレッシュチーズは新鮮な乳から作られ、新鮮なうちに食べることで旨みや味を楽しむことができるため、熟成期間は必要ありません。
●長い移動や保管の腐敗を防ぐ事
チーズはその特質上、生ですから、必ず腐敗するということが懸念されます。 どんなチーズであれ環境に左右されるのは『菌』という弱い生き物ゆえの特性です。
しかし、ハード系のチーズを例に取ってみますと、逆にその特徴を生かし環境の変化をものともせずに生き残るチーズもあります。
ギリシャの『フェタ』チーズがその代表的なチーズです。 ナチュラルチーズの中ではフレッシュチーズに分類されますが、発酵熟成する点でしかも約2ヶ月保存されるため熟成型チーズに入ります。
このチーズは、ユーラシア大陸で西から東へと移動したかつてのアラブの商人が運んできました。 かなり塩気の強いチーズです。 最初はそのまま食べていたものが、貯蔵の意図と運ぶという目的を兼ね備える必要性があり、塩水につける必然性とそれが「熟成」という味の変化の偶然へと変化しました。
やがてヨーロッパや中近東における戦争などにより、チーズは保存食として軍隊の非常食の最も需要な物でした。 そのため、たくさん作られていたハード形のチーズなどが持ち運びにも適していたわけです。
●保存食から嗜好食へ
人々はこぞって“楽しむ”という文化面を充実させるようになります。 当然その国における食文化も大きく発展させようとなるわけですし、それが酪農王国であれば自然、チーズをよりおいしくさせる努力もさせます。 現に、安定していた時代、ルネッサンス期には相当量のチーズの種類が生まれました。
『熟成』とはまさにその代名詞だといえます。
白カビを代表とするブリーチーズ類、青かびを代表とするゴルゴンゾーラ類、ウォッシュチーズやセミハードチーズの原型もこの頃をピークに確立されていきました。
どの国も美食家などがそのチーズの味に評価をだし、世界に名だたるチーズであることを証明し賞賛することはサロンと呼ばれる場面でよくありました。
それは1900年代に入っても続いていますし、もっと美味しくしかも熟成を楽しむという趣旨のチーズがつくられてきたといえます。
●チーズの熟成期間
①白カビタイプ
1週間から4週間ぐらいがおいしく出来上がるまでに必要です。 特にブリーと呼ばれる白カビチーズの代表のチーズは3週間以上は必要です。
②青カビ系
全体を固くするために期間をかけるのではなくチーズの中に広がる、青かび自体を上手に繁殖させるために発酵熟成させるものです。 数週間から6ヶ月というものまで幅広くあります。
②セミハード
3ヶ月から6ヶ月が熟成の主だった期間になります。 これは中に入り込んだ乳酸菌類が時間とともに成長していく上でどうしても必要な時間なのです。
③ハードのかなり硬いチーズ
最長5年というものもあるほどです。 寝かせば寝かすほど熟成度合いもなじんできます。 この熟成期間中は放置などではなく、定期的に天地をひっくり返す作業を行ったり、表面についたほこりや汚れ、菌を塩水やお酒でふき取るということを行い続けなければなりません。
④ウォッシュタイプ
2週間から1年未満のものが多いのが特徴です。 あまり長く熟成させると腐ってしまうのです。これは白カビチーズのように繊細な菌の成長度合いが起因していて、短命であることからなるべく一気に菌の繁殖が行われないように洗う=ウォッシュすると言う作業をしなければならないことをみれば一目瞭然です。
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