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正直小説家は稼げない仕事と断言しておきます。稼げないどころか仕事がまったくなくなって廃業なんて憂き目もざらにある世界です。そんな作家稼業をなんとか軌道に乗せたい。或いは稼げるようになりたい。その為の戦略は存在するのか。
そんな疑問にお答えすべく今回は作家というお仕事を軌道に乗せ、それどころか稼いじゃおうというテーマで記事を書かせて頂きます。ただし記事の大方が分かりやすくする為に電子書籍を引き合いに出して書かせて頂きたいと思います。
それから、なるべく具体的に戦略を書いていきたいと思いますので、ある程度私感が入ってしまうかもしれません。そこはご愛敬という事でお願い致します。では始めていきましょう。
目次
作品を作って売る以外の収入源も確保しておく
電子書籍を1冊250円で売るとして何冊くらい売らねばならぬのか。ざっと試算したところ700冊くらいは売らないと生活していくにはきついです。どういう計算かというと……まず概算10万文字の自作小説があったとして10万文字を書くのにどれだけの時間がかかるのかを計算します。
なるべく効率的に、なるべく早く書いたとしても5日はかかります。ここに出版社との打ち合わせの時間と推敲にかける時間を足して7日。約1週間で1本書き上げる事とします。月に4本書ける計算ですね。そうして月の売り上げ目標を50万円に設定すると1冊の売り上げが12万5千円となります。
そうしてKindleで販売する時に利益率は70%前後だと思いますので1冊辺りの売り上げが18万円は欲しいところです。それを250円で割ると720冊だという計算になります。ただし売れている作家さんでも電子書籍を月に4本書いても200冊辺りらしいので(※ネット調べ)700冊とは滅茶苦茶厳しい数だという事が分かります。なので小説を書く以外にも記事を書いて寄稿したり、小説教室を開校したりとサイドビジネスも視野に入れねばなりません。
ちなみに紙媒体の小説の場合、印税は大方10%前後なので1ヶ月で1本書いたとして(※紙媒体の場合、月に4冊書くのは厳しいです。打ち合わせも念入りになりますし、推敲などもクライアントによって何度も何度もやり直す必要性がある為です)50万円を手にするには500万円分売らねばなりません。
1冊1000円の本を出したとして5000部です。1万部出してヒットと言われるのでスマッシュヒットという事になります。毎回毎回、5000部も売れるわけはないので、やはりこちらも小説だけで生活するには少々厳しい数です。
価格の設定は柔軟に
この方法は電子書籍だけに当てはまる作戦です。紙媒体の場合、出版社が絡んでくるのでこの限りではありません。ともかく今現在の日本の出版事情は切迫しています。多く売って、ほんの少しの当たりを探す時代であります。ゆえに漫画の単行本だけでも月に1000冊以上の新刊が発刊されています(※紙媒体のみ)。
なので出版社が絡むにしろ、一個人でのセルフで刊行にしろ電子書籍を発行したところで埋もれてしまうの実情です。新刊でピックアップされた時にスタートダッシュ出来なければ消え去ってしまうでしょう。そこで価格を改定する事で話題を作るのです。始めは1冊250円で売っていたものを半年後には200円。
更に1年後には100円と少しずつ安くして読み手が手に取りやすいものとして話題を作るのです。話題作りに成功すると再び脚光を浴びるチャンスになります。この方法は有名作家さんもとっている作戦でなかなか有効な手段です。
ヒットを打つ条件
ヒット作を狙って作れる人はいません。ただしヒットを狙って書く事はできます。もちろんヒットを狙って書く場合と漫然と書き続けている場合とではヒットが生まれる可能性は前者が高いのは当然の帰結です。ではヒットを狙って書くとはどうすればいいのかを説明していきます。
まずヒットを出す為の条件として、みっつの要素があげられます。ひとつ目はタイミング。ふたつ目はプロモーション。みっつ目は背景や説得力。ひとつひとつ解説していきます。タイミングとは今現在ホットな話題であるかどうかです。
例えばプロ野球選手が引退した場合のメモリアルブックなどがそれにあたります。次にプロモーション。プロモーションとは宣伝広告の方法。今で言えばネット広告を利用したり、表紙を有名絵師さんに書いてもらうなどプロモーションに一工夫加える事です。この一工夫が明暗を分けたりもします。
最後に背景や説得力ですが、これは単純にカリスマ社長の経営論と借金を抱えた今にも潰れそうな会社の社長が書いた経営論とではどちらが売れるのか一目瞭然ですよね。なので自分の強みを知り強みを前面に押し出した書き方が望ましと言えます。
スタートダッシュ
ここまである意味応急処置的な策を書いてきました。何故応急措置なのかと言えば前述しうた策を愚直に実行し続けたとしてもスタートダッシュに失敗した作品は結局埋もれてしまうという現状があるからです。少しだけ想像して下さい。
漫画雑誌の新連載が何故10~20週で打ち切りの憂き目にあう作品があるのかを。これはスタートダッシュに失敗した作品はその後も伸びる事がなく雑誌社にとって経費だけがかかり続けると判断されているからです。もちろん中には連載を続ける内にじわじわと売り上げを伸ばす作品もあります。
しかしそういった作品はスタートダッシュが成功までとはいかずともある程度の初動はあるものなのです。ゆえに初動(※スタートダッシュ)はとても大切だと言えます。
スタートダッシュはどうすれば成功するのか?
スタートダッシュの成功如何は結局ヒット作を狙って愚直に書き続けるしかありません。その上で運良く初動に成功できれば御の字と考えましょう。成功すればランキングに登場したり、話題にもなります。なので、せめて5本書いて1本のヒットを狙いましょう。
5本で初動成功という数もかなり厳しいですが、出来れば5本の内に1つは狙っていきましょう。そうすれば初動に失敗した残り4本でかかった経費の帳尻も合わせられます。そうしてスタックがたまっていけば余裕を持った作品作りができるようになるので、いいものが書けるようになり好循環が生まれます。
まとめ
さてここまで様々な売り方を書いてきました。もちろんこれ以外にも小説で稼ぐ為の作戦はあります。ただしここから先の方法論は専門的な戦略になる為に作品を書く小説家が行うというよりは出版社に所属する編集さん達が執る作戦になります。
もちろん電子書籍を個人で出版する場合にはセルフプロモーションなのでこの限りではありませんが、今回は初心者にも分かりやすいものをという趣旨で書かせて頂きました。おそらくですが、ここに書いたものを実践すればある程度の売り上げはあがります。
もちろん作品自体のクオリティも拘わる問題なので一概には売れるとは言い切れませんが。ともかく小説家という仕事はかなり難しい仕事で苦労が報われない仕事です。
難しく報われない仕事という事を念頭において、それでも小説家を目指して欲しいとまとめておきます。ではまた機会があればどこかでお会いできる事を願っています。草々。
稼げる小説家になるためにはどうすればいい? 、了。
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