ナチュラルチーズの栄養

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Meditations / Pixabay

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【ナチュラルチーズの栄養】

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チーズの栄養を考えるときどうしても決め手となる部分があります。

それはナチュラルチーズには様々な種類の乳があるという前提です。

●牛の種類

10#0gのチーズを作るのに必要な牛乳の量は1000ml、1リットルの量が必要です。

しかし、温めたために水分が熱でどんどん気化してしまったり、あるいはチーズを作る際に使われる凝固剤の一種のレンネットや乳酸菌などの量を多く使うことで薄まったり、と様々な点で乳の量を考慮しなければなりません。

実際には1200mlぐらいは使います。

生乳の質がしっかりとしていたとしても、絞りたての乳をそのまま使うことはできません。 日本の場合は低温殺菌している牛乳を使うことが義務づけられています。

このため、たんぱく質を分解コントロールすることが、フランスやイタリアほどうまく行かないケースが多々あります。

ナチュラルチーズが中々日本で生産されない理由はずばり、たんぱく質そのものの存在がおおきいのです。 いったん100度を超えて殺菌してしまうとたんぱく質はおろか脂肪分も、生乳の要素が半減してしまい固まらなくなります。

かといって、低温殺菌という手法をとる場合、施設や設備を充実させられるかどうかという点や乳の確保という生産ベースに見合った分量が手に入らないということも上げられます。

チーズの本来の旨みは、フランスをみてもわかるように、無殺菌牛乳の扱いがととのってこそという事実が壁になってしまっています。

牛乳のそれだけ濃い成分があれば十分美味しいチーズができるのです。

●乳牛

牛の種類にもチーズ作りは左右します。

フランスのコンテ地方ならば、モンベリアルドという種の牛がいます。 牛の混血を防ぐ目的と、牛乳の混乳を防ぐ目的でこの地域にあつめられています。 長寿かつ脂肪などの成分も濃いというのが特徴です。

ブルターニュ、ノルマンディーでカマンベールチーズを作るのに絞られる牛にノルモンド種がいます。 これはさきのモンベリアルド以上の脂肪分です。しかし乳の量が少ないという欠点があります。

ローヌ・アルプ地方にいる乳牛はアボンダンス。 山で飼われている牛の中では、相当量の乳がでるのと脂肪分およびたんぱく質分がバランスよく入っている点が特徴です。

サヴォア地方のチーズの原乳ならばタロンテーズ。 人に従順でとても扱いやすい牛であることがいわれているが、頭数が極端にすくないのです。

食肉にも搾乳にも作業用種にも使われるとうたわれ今ではスイスのチーズ専用とされたブラウンスイス種。 脂肪分よりもたんぱく質が多く含まれているので山のチーズには欠かすことのできない種類です。

さて、こうした内容をふまえたうえで、ある程度ざっくり栄養成分をみてみます。

●栄養分

チーズは牛乳の中に溶け込んだ栄養分を凝縮したものですが、単に水分を取り除くといったことではありません。

例えば100グラムのくくりでそれぞれのエネルギー量を見てみます。 牛乳はエネルギーが67カロリー フレッシュチーズは105カロリー ハード系380カロリー 白カビ系310カロリー ブルー系340カロリー といった数字です。

これはもともとの67カロリーしかないエネルギーを、チーズにして凝縮しながら集めて集めてと、約5倍に濃縮した数値であることがわかります。

水分にいたっては牛乳が87.4%としてフレッシュ系は79%、ハード系40%、白カビ系51.8%、ブルー系45.6%と残っている部分が多いことがわかります。

この圧搾されたチーズは単に水分を取り除かれた塊ではないこともわかります。 一番重要な脂肪分の推移です。

チーズがこってりしていてうまみや風味が強いという印象があるのはこの脂肪分からです。

100グラム中の脂肪分のグラム数。

牛乳3.8g フレッシュ4.5g ハード29.0g 白カビ24.7g ブルー29.0g 牛乳の時にあった数字よりも7倍から8倍もの変化が見られます。

これだけでもかなり栄養が詰まったものであるといえるのです。

たんぱく質や脂肪が固まる量に左右されて出来上がるチーズ、中でもカルシウムの推移は牛乳110㎎に対しハード系が680㎎、白カビ460㎎、ブルー590㎎ともちろんフレッシュチーズのようにほとんど脂肪だけというものもありますが、四倍以上もあるのです。

そしてカルシウムの量です。

牛乳カルシウム 110mg フレッシュ55mg ハード680mg 白カビ460mg ブルー590mg

ビタミンAは脂肪に溶け込んでいますから脂肪分の多いチーズに多く含まれています。

ちなみに他の栄養素をみてみます。 牛乳 ビタミンA(カロテン)6μg ビタミンA(レチノール)38μg ビタミンB2 0.15mg 鉄 0.1mg

フレッシュ ビタミンA(カロテン)20μg ビタミンA(レチノール)35μg ビタミンB2 0.15mg 鉄 0.1mg

ハード ビタミンA(カロテン)210μg ビタミンA(レチノール)310μg ビタミンB2 0.45mg 鉄 0.3mg

白カビ ビタミンA(カロテン)140μg ビタミンA(レチノール)230μg ビタミンB2 0.48mg 鉄 0.2mg

ブルー ビタミンA(カロテン)280μg ビタミンA(レチノール)270μg ビタミンB2 0.42mg 鉄 0.3mg

これらはあくまでもホルスタインの標準乳を出来るだけ熱を加えないでという状態からみたものです。

あまりにも多いチーズの種類ゆえに確定的な見方はできません。

しかしながら、コップいっぱいの牛乳を飲む以上に栄養価が高いことは一目瞭然ですね。

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