【小説】新人賞の傾向と対策について



「小説」新人賞の傾向と対策

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今回は私の長き下積み生活で得た知識を私なりの解釈を含めて皆さんにお伝えしたいと思います。無論、私とて一アマチュア小説家に過ぎません。数多くの賞に応募し続ける貴方と一緒であるアマチュア小説家なのです。だからこその視点と見解で記事を書いていきたいと思います。貴方の明日を照らす出す一条の光を目指して……。

●純文学を志す人に

新潮新人賞(新潮社)……登場人物の人間性を深く掘り下げた作品が好まれる傾向があるようです。特に主人公に焦点を絞って心理描写を徹底的に書ききった作品が求められています。無論、純文学なので文学性は必須です。

文學界新人賞(文藝春秋)……芥川賞を主催するのは文藝春秋。そして芥川賞候補作の内一つは必ず文學界に掲載された作品が入るという特徴があります。この新人賞を穫っておけば文學界に掲載されやすいので芥川賞に一番近い新人賞と言えます。

すばる文学賞(集英社)……どちらかと言えばエンターティンメント寄りの純文学が好まれます。今までにない設定、そしてお話の分りやすさと平行して意外な展開など配したストーリーを作る力が求められます。完全なる純文学の受賞は難しかもしれません。

文藝賞(文藝)……この賞を獲る為には計算を捨てて自分が小説を書く上で書き表したい事をハッキリとさせる事。書きたい事、表現したい事を文章テクニックで読ませられる人が受賞している印象があります。さらりと読めるお話も強いかもしれませんね。

●ノンジャンルで書きたい人へ

日経小説大賞(日本経済新聞社)……日経の主催する新人賞ですが、経済小説でなくても大丈夫です。受賞作を読むと分るのですが、恋愛小説からお仕事小説まで幅広いジャンルの作品が受賞しています。しかしながら小説の根幹に流れる人生経験からくる含蓄や感情の機微を上手く捉えた作品が好まれているようです。

●エンタメが好きだ

角川春樹小説賞(角川春樹事務所)……おおよその受賞作が高い文章力と創造性、そして魅力的なキャラクター造形などに光るものがあり、冒頭から読者を作品のトリコにする力がある作品が目立ちます。もちろん構成にも妙味がある作品も多々。実力主義的な新人賞であると言えるでしょう。

ポプラ社小説新人賞(ポプラ社)……この賞のターゲット読者は十代後半から三十代前半と比較的若い層を狙っています。若者ウケをする作品を書くのはもちろんの事、分りやすいお話や派手な演出、そして奇抜な企画などが求められているような気がします。

小説現代長編新人賞(講談社)……この賞の特徴はエンターティンメントとしての面白さと読ませる力がある作品が数多く受賞しています。文章力よりも、物語の設定や奇想天外な展開、そして深いキャラクター造詣が求められているのではないのでしょうか。それから特筆すべきは時代小説が多数受賞している事でしょうか。

松本清張賞(文藝春秋)……こちらの賞はプロも数多く参加する事で有名な賞で、アマチュアには少々厳しい文学賞です。かと言ってアマチュアでも実力があれば普通に受賞するので自分の力に自信がある人は挑戦してみてはどうでしょう。そして受賞作が好まれればすぐにファンが付くという側面をも持つ新人賞です。

小学館文庫小説賞(小学館)……魅力的なストーリーで読ませる作品が数多く受賞しています。この賞の最大の特徴は受賞作のジャンルが多岐にわたっている事でしょう。ファンタジーから現代小説までさまざまです。ターゲットとする読者の年齢層は比較的若く読みやすく面白い作品が好まれる傾向にあります。

メフィスト賞(講談社)……個性的なキャラクターが求められる新人賞。もちろんキャラクターありきの上に意想外の展開やオリジナリティーも同時に求められます。受賞作で特に多いのはミステリーです。受賞後にはメフィスト作家と呼ばれ、とても熱心なファンが付くのもこの新人賞の特徴でしょう。

●ミステリーならばこれで決まり

江戸川乱歩賞(小説現代)……ミステリーというジャンルの新人賞では一番の注目度を誇る新人賞。出版業界でも注目度は高く、受賞後は数多くのオファーがくると言われています。ただしプロも応募可能な新人賞なので、やはりアマチュア小説家には狭き門と言わざるを得ないでしょう。しかしミステリー作家を目指すのならば外せない新人賞です。

ミステリーズ! 新人賞(東京創元社)……トリックの妙味はもちろん事、伏線の張り方、個性的なキャラクターを創る力、お話として面白いと思えるストーリー展開力などが求められます。こちらの新人賞の応募規定枚数は原稿用紙30枚から100枚と短編になっており、短編としての切れ味も必要になってくるでしょう。

横溝正史ミステリ大賞(角川書店)……募集ジャンルはミステリーですが、いわゆる単なる謎解きに終わらず、ファンタジー色が強いミステリーものや冒険ものとのミックス、社会派ミステリーと多種多様な作品が受賞しています。もちろん本格ミステリーも大丈夫です。ともかく作品が魅力的であれば何でも受けつけるという懐の深さを持っている新人賞と言えるでしょう。

アガサ・クリスティー賞(早川書房・早川記念文学振興財団)……第一回と第二回の受賞作は魅力溢れる作品でしたが、第三回以降、受賞作品の質が落ちてきた新人賞です。ともすれば受賞作なしを出しにくい事情があるのでしょうか。ミステリー作家を目指す人はこの新人賞も範疇に入れておくといいでしょう。

●SFはどうだ

創元SF短編賞(東京創元社)……応募規定枚数が原稿用紙40枚から100枚と応募しやすいSF系新人賞。ただしアイデアやストーリーの妙味さ、そしてシチュエーションなどがずば抜けた作品が数多く受賞しています。言うまでもありませんがSFファンをターゲットとしており、SFファンを唸らせる力を持った作品が好まれます。

●ホラーもいけるよ

日本ホラー小説大賞(角川書店)……受賞作の多くは民話やファンタジーなどとホラー自体を他のファクターとミックスさせた作品が目立ちます。ホラーとしての怖さと同時に別の味も楽しめる作品が好まれまれているのでしょうか。もちろん読み手を作品の魅力でトリコにする力が求められています。

●まとめ

ここまで挙げてきた新人賞は飽くまで私自身が知っている新人賞に過ぎません。これらの新人賞以外にも数多くの新人賞が存在しているのは周知の事実です。もちろんこれらの新人賞に自分の持ち味が合わない方もおられるでしょう。後は自分の頭で考え、自分の体を使い行動を起すしかないのです。

そうすればきっといつか新人賞を獲れると思います。いや、穫って下さい。同志として影ながらこの記事を読んでくれた方を応援していきますから……。

ではまた機会があれば。

「小説」新人賞の傾向と対策、了。

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